2002/5/18

グルメの会
−2002年6月15日−

無垢根亭(大門酒造)

蔵本が手作り料理で
客をもてなす贅沢な隠れ家


入り口風景


店内風景

案内地図

大阪府交野市森南3-12-1
  大門酒造 内

TEL 072-893-2181

 大阪はキタの繁撃街から電車に揺られて行くと、ほどなく河内磐船(かわちいわふね)という小さな駅舎にいたる。
 この町に週末の3日間だけ客を迎える、素晴らしく趣のいい酒亭がある。酒造り170年の歴史を持つ大門酒造が、「酒屋半左衛門」の屋号を掲げ、自社の敷地内に3年前に開いた、その名も酒蔵サロン『無垢根亭』だ。
 コース料理のみの完全予約制。しかも、客はスタート時間厳守だという。そう聞くと、窮屈な店かとも思えるが、とんでもない。
 店主でもある6代目蔵元の大門康剛さん(53歳)がいう。「ここは蔵元の女房が、季節の旬の素材を使った手作り料理でお客さまをもてなす、そんな発想で作った店。いい意味の素人料理を貫きたいと思って、プロの料理人は置いていないんです。そういう事情から、スタート時間だけは揃えてもらいますが、終わりはとくに決めていませんし、追い立てるようなこともしません。みなさんの常識の範囲内で楽しんでいただければ、それでいいんです」
 大門さんは素人料理″とあえて言ったが、四季の食材をふんだんに使い、吟味された大ぶりの器に供される料理はいずれも一級品だ。しかも、値段は3500円というから、かなり割安だ。
 大門酒造が伝統的な手法で造る酒は、味わいの深い芳醇旨口タイプ。そんな酒の数々も、すべて小売り値段のまま供するという。
 「ひとつには、うちの酒を知っていただくというのが、この店の主眼ですから。通常、お酒を買っていただくのと同じ値段で提供させていただく。他に、そのときどきで替わる搾りたての生原酒もありますので、それも併せて楽しんでいただけたらと思います」
 何よりも、この『無垢根亭』は佇まいの風情がいい。ネオン輝く中心街から、わずか20〜30分。これほど落ち着いた趣ある空問で寛げるのは、贅沢の極みという他ない。

(雑誌「サライ」より)

コース料理例